MBAとは何か?受験方法や費用、その後のキャリアまで徹底解説!

MBAとは
MBAと聞くと「エリート」「経営者」「戦略コンサルタント」といったイメージを持つ方も少なくはないのではないでしょうか。MBA(Master of Business Administration)とは経営学修士のことで、経営学の大学院修士課程を修了した人に与えられる学位のことです。MBAを学べる大学院はビジネススクールと呼ばれ、単なる学問としての習得ではなくより実践的に理解することを目的としています。大きく分けて
・会計・ファイナンス
・人事・組織
・マーケティング
・経営戦略
の4つのモジュールでカリキュラム構成されることが多く、起業家・企業の経営層に必要不可欠な分野を幅広くカバーし、そして深く理解することが求められます。
確かに、数年前までMBAは一流企業の幹部、マッキンゼーやボストンコンサルティンググループといったコンサルタントなど、限られた人のみが持つ資格や称号のようなものでした。それが近年では、MBAという言葉が徐々に一般にも浸透し、以前よりもより広い範囲・分野の職業に就く人々が持つようになってきています。MBAというと海外のビジネススクールのイメージが強いですが、最近では日本でもMBAを取得するためのカリキュラムを提供する大学院が増え、社会人・学生問わずMBA取得を目指す人が増えているのです。
そんな一般的になりつつあるMBAですが、難易度はやはり高くそう簡単に誰でも取れるものではありません。その分、MBA保持者はビジネス社会で非常に重要視され、特に転職などのキャリアチェンジでは優位に働きます。
今回は、「MBAに興味があるけど具体的にどんなものかわからない」といった人から「MBAの取得を本格的に考えている人」まで、MBAを取得するための費用や必要準備、取得することのメリット・注意点、そして取得した後のキャリアまでを実際にMBA取得した僕自身の目線で解説します。
MBA取得条件・大学
MBAを取得するには、まずMBAプログラムを提供している大学院に入学する必要があります。大学院ごとにカリキュラム構成や費用、受験条件などが違うため自分に合った志望校を選ぶことが何よりも重要ですが、ここで選択肢として最初に出てくるのが、「海外と日本国内の大学院のどちらでMBAを学ぶか」です。ここでは海外・国内のMBA取得についてそれぞれ解説していきます。
海外MBA
そもそもMBAはアメリカのハーバード大学がケース・スタディを中心としたカリキュラムを始めたことから世界に広まり、今でもMBAの本場といえばアメリカといったイメージが強く持たれています。実際、海外の最新のビジネス動向を肌で感じながら英語でコミュニケーションを取りつつMBAを学ぶというのは、今後グローバルに活躍したいと思っている人にとって大きな魅力でしょう。ただ、その分国外からの受験者には英語力を測るGMATやTOEFLなどの一定の点数が求められますし、英語や現地の言語で講義が行われ世界中から集まった人材とディスカッションを重ねるわけですからMBA取得の難易度は当然高くなります。
・修学期間:アメリカ2年、ヨーロッパ1〜1.5年
・受験条件・提出書類:
実務経験(2年~)
TOEFL iBT(100点以上)・IELTS(7.0以上)のスコア
GMAT(700点以上)のスコア ※特にアメリカの場合
GPA(大学の成績表)
CV(英文履歴書)
志望動機、大学での研究や社会経験についてのエッセイ
大学の教授や会社の上司による推薦状2通
面接
・費用:700万円~2000万円
国内MBA
日本でMBAを取得できる主要な大学院は約30校あります。修士課程を有する大学院が全体で1,700校あるうちの30校なので、その数はまだまだ多いとは言えません。ただし、慶應義塾大学がケース・スタディを中心としたディスカッションに重きを置くカリキュラムなのに対して一橋大学はより一つの分野にフォーカスして理論的な考察・研究を行うことに重きを置いていたりと、数は少ないながらもその特色は大学院によって様々です。講義は基本的に日本語で行われ、費用は海外MBAに比べ格段に安いところが多いです。また、全日制や夜間・週末開講など、大学院によっては複数のコースを設けているスクールもあるため、働きながらMBA取得を目指すという選択肢も可能というのが国内MBAの大きな特徴と言えるでしょう。
・修学期間:全日制1年、夜間や週末開講の場合は2年になることが多い
・受験条件・提出書類:
小論文
研究計画書
面接
英語力テスト ※一部の大学院のみ
・費用:130万円〜500万円
国際認証について
各ビジネススクールのMBAプログラムには、国際的な評価機関が設けた一定の評価基準を満たすと認証を受けているものがあります。代表的な評価機関はAACSB、AMBA、EFMDの3つで、それぞれがカリキュラム内容やスクールの規模などあらゆる面で審査を行い、国内にも国際認証を受けている大学院が存在します。
国際認証を受けているということは、世界的な一定の水準を満たしていると認められたビジネススクールということになりますが、国際認証を受けているから志望校にすべきかというと違います。先程もお話したとおり、MBAのカリキュラム内容、研究に対するアプローチ方法はスクールによって全く違います。まずは自分がどういう学び方をしたいか、今後のキャリアパスには何が必要かを十分に考慮した上で最適な選択をするべきです。
AACSB認証を受けている国内の大学院
慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)
名古屋商科大学大学院マネジメント研究科(NUCB)
立命館アジア太平洋大学大学院経営管理研究科(APU)
国際大学大学院国際経営学研究科(IUJ)
早稲田大学大学院経営管理研究科(WBS)
一橋大学大学院経営管理研究科(HUB)
立教大学大学院経営学研究科
AMBA認証を受けている国内の大学院
名古屋商科大学大学院マネジメント研究科(NUCB)
立命館アジア太平洋大学大学院経営管理研究科(APU)
中央大学大学院戦略経営研究科(CBS)
同志社大学大学院ビジネス研究科(DBS)
EQUIS認証を受けている国内の大学院
早稲田大学大学院経営管理研究科(WBS)
名古屋商科大学大学院マネジメント研究科(NUCB)
京都大学大学院経営管理教育部経営管理専攻(GSM)
MBA取得のメリット
MBAを取得することはエリートビジネスマンへの第一歩。そこには今後のキャリア形成において様々なメリットがありますが、ここでは実際に修士課程を修了し、MBAを取得した後だからこそ初めてわかったメリットについてお話します。
- 論理的思考力が身につく
大学院のカリキュラムにもよりますが、ビジネススクールでは必ずと言っていいほどケース・スタディでのディスカッションを行います。同じくMBA取得を目指すクラスメイトでもその職種や実務経験は様々です。その彼らと日々ディスカッションを繰り返すことは、多角的な視点で物事を観察し、結論を見出すまでのロジックを組み立てる力は格段に向上しました。特にコンサルタントの職種では、クライアントからの課題に対して日々「なぜ?」を問い続けます。なぜその課題が生まれたのか、なぜそのファクトが発生するに至ったのか、なぜその結論が導かれるのか、ディスカッションによって「なぜ?」を問い続けることによって自ずと論理的思考力が身につくのです。 - 人脈が広がる
ビジネススクールに通う学生は基本的に実務経験2年以上の社会人です。さらにMBA取得を目指す人材には一流企業から派遣されて入学している人、経営層などすでにエリートと呼ばれるビジネスマンが多くいます。彼らと接点を持ち、日々議論を交わすことは今後の思考に大きな影響を与えますし、その人脈は卒業後も貴重なものとなります。 - 学歴のアップデートができる
論理的思考力や人脈が今後続く長期的なメリットだとすれば、学歴のアップデートはスポットでのメリットです。ただ、短期的に考えれば実はこれが最大のメリットかもしれません。日本でもMBA取得者が増えているとは言え、その厳しいカリキュラムを修了した取得者はやはり「エリート」というイメージを社会で持たれます。特に有名大学院を卒業したとなれば履歴書の学歴欄の輝きはひときわでしょう。そのメリットを強く感じるのが転職です。実際、有名大学院でMBA取得したという事実は転職活動に置いてとても優位に働き、企業規模がより大きいところに転職したい、コンサルなどの職種に変更したい人にとっては大きな武器となるでしょう。
MBA取得のデメリット
MBA取得のメリットはたくさんありますが、その分難易度は高く、取得に際して最初に心得ておかねばならないこともあります。ここではMBA取得を本格的に目指す前にまず知っておくべき注意点を解説します。
- 費用
まずなんと言っても大学院に通うということは当然お金がかかります。海外MBAの学費の相場が700万円~2000万円なのに対して国内MBAが130万円〜500万円と海外・国内のどちらの大学院に入学するかによって大きく違いますが、どちらにせよ多額の費用がかかることには代わりありません。さらに海外MBAを選択した場合は別途留学先での生活費がかかりますし、留学する国の物価にも大きく左右されます。カリキュラムの内容だけでなく費用面など、総合的に合った志望校選びをすることが非常に重要になってきます。 - ハードスケジュール
ビジネススクールに通う学生はかなりのハードスケジュールになることが多いです。講義の内容はハイレベルで課題やレポートの提出は多く、自分も常に締め切りに追われていた記憶があります。特に夜間や週末開講の大学院に働きながら通う場合、平日の昼間は普通に仕事をし、終わったらその足で大学院で2コマ講義を受け、帰ったら夜中すぎまでレポートを書く、という毎日が続くこともあります。大学院1年目は必須科目も多く、講義が毎日びっしり入るのであらかじめハードスケジュールになることは覚悟しておいたほうがいいでしょう。
MBA取得後のキャリアパス
続いて、ではMBA取得後にはどんなキャリアパスが待っているのかを解説していきます。実際のところ、本人が何を目的としてMBAを取得し、卒業後にどういったアクションを取るかが大きな鍵となりますが、履歴書に「MBA取得」と書かれているだけで、その威力を実感する場面は多々あります。
- MBA取得後のキャリア
MBAを取得した卒業生に多いその後のキャリアとして、
– 起業家としての独立
– 一流企業の経営層へのキャリアアップ
– 戦略コンサルタントへのキャリアチェンジ
などが主なところでしょう。転職活動は30代後半を過ぎ、年齢を重ねていくほどに難しくなりますが、MBA取得という肩書によってヘッドハンティングや面接前から一定の実力があると認められるケースが増えるため、卒業後には職種の変更やもっと規模の大きい企業への転職を望んでいる人にとっては大きな武器になります。 また、海外MBAを取得している場合、一定の英語力や経営に関する知識、論理的思考力が備わっている証明となり、海外での就職や国内でも外資系の企業への就職にも確実に優位に働きます。 - 日本で活躍するMBAホルダー
また、企業を考えている人にとってもMBAホルダーという肩書は取引先開拓する上で信頼を勝ち取るためのきっかけにもなります。実際に日本の経営者の中にもMBAを取得している人は多くいて、有名どころではこちらの方々などです。
日本のMBAホルダー
サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長:新浪剛史
ハーバード大学MBA
楽天株式会社代表取締役会長兼社長:三木谷浩史
ハーバード大学MBA
株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役会長:南場智子
ハーバード大学MBA
株式会社経営共創基盤代表取締役CEO:冨山和彦
スタンフォード大学MBA
ライオン株式会社相談役:藤重貞慶
慶應義塾大学MBA
株式会社アシックス執行役員:片山 裕之
慶應義塾大学MBA
A.T.カーニー日本法人会長:梅澤高明
マサチューセッツ工科大学MBA
まとめ
いかがでしたでしょうか。皆さんはMBAを取得することはその後の人生に影響があると思いますか?答えは、「大いにある。ただし使い方次第」です。単にMBA取得をゴールとしている人はどんなカリキュラムで学びたいのか、卒業後に何をやり遂げたいのかが明確ではありません。それでは卒業後もMBAはただの肩書となってしまい、ただの「持ってる人」になってしまいます。
そうではなく、MBAを取得を目指す上で一番重要なのは、「MBAを取得することで何を叶えたいか」です。それにより取得に際しての選択肢は自ずと決まってきますし、それは志望校選びの時点で始まっています。
今回はMBAとは?という基礎知識と、受験する上での選択肢や注意点、そしてその後のキャリアについて解説しました。今後もMBA取得を目指す上で重要な情報をお伝えできればと思っていますし、各大学の受験攻略やカリキュラムなどより深ぼったテーマにも触れていきたいと考えています。少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。

監修:Yoshito.S 一橋大学大学院経営管理研究科修了
メガバンクでの金利マーケット業務等を経て一橋大院にてMBAを取得。修了後、アセットマネジメント会社や事業会社にて資産運用業務に従事。金融出身者向けの受験指導を強みとする。
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